写真 : 減圧症(潜水病)の手当で使用する緊急用酸素キット
スキューバダイビングでは、通常のリクリエーションダイビングで使用されているスキューバタンクの中の空気は79%の窒素と21%の酸素で構成されています。ほとんど8割は窒素になります。ダイビングをしていると水中で血液のなかや細胞のなかに窒素が溜まっていきます。
窒素は水深が深く、滞在時間が長いほど、どんどん溜まっていきます。ある一定以上の量の窒素が溜まったままの状態で陸上にあがってしまうと、その溜まっていた窒素が血液のなかや細胞のなかで気泡を形成します。ダイビングの環境、個人差、体調などのコンディション、浮上スピードなども関係します。
ダイビングを安全に楽しむためには減圧症(潜水病)の知識と予防方法はとても大切です。以下の記事を読んでダイバーの方は安全にダイビングを楽しみましょう。
減圧症(潜水病)の症状
減圧症(潜水病)の初期の症状はマヒ、ショック、脱力感、めまい、しびれ、軽いヒリヒリ感、呼吸困難、関節や手足の痛みがあります。減圧症(潜水病)は重症の場合は意識不明、死に至る場合もあります。
減圧症(潜水病)の徴候と症状は明らかにわかる場合もあれば、軽度の場合はすぐには自覚症状が出ない場合もあります。通常はダイビング後の15分から12時間ほどで症状が出る場合が多いですが、12時間以上経過してから症状が出る場合もあります。
徴候や症状の程度にかかわらずに医療機関の診断は受けるようにしてください。
減圧症(潜水病)の手当
減圧症(潜水病)の応急手当の仕方は、すぐに医療機関へ連絡して、ダイバーを横にします。準備があれば、緊急用酸素キットを用いて100%の純酸素を与えます。
減圧症(潜水病)の治療では医療機関の再圧チャンバーに入ります。減圧症(潜水病)の治療方法は一昔前まで治療の仕方がないとても怖い症状でしたが、いまはこの再圧チャンバーのなかに入り海の中と同じ環境をつくり、溜まっている窒素を排出することができます。昔は減圧症(潜水病)のダイバーを再度、水中に戻す治療方法などがありました。
もし、仮に再圧チャンバーが近くにない場合はダイビング後は飛行機に乗ることができないのでドクターヘリなどで再圧チャンバーがある大きな島まで搬送されることになります。
減圧症(潜水病)の予防
減圧症(潜水病)の予防の方法はとても大事です。水中に深く潜らない、長い時間とどまらないなどは当然のことですが、減圧症(潜水病)を引き起こすダイバーのほとんどは浮上スピードによるものです。浮上するとき、ダイビングでは1分間に10Mを越えないようにします。ダイブコンピューターで浮上スピードを確認するようにしてください。
又、ダイビングの終了時には安全停止を行います。安全停止は水深5Mで3分間留まり、体に溜まっている窒素を排出します。
減圧不要限界(NDL)とは、その水深に潜水が可能な限界時間。ダイビングのときの必須アイテムになるのでダイビング器材を揃えるときはダイブコンピューターから揃えるのがおすすめです。
- 参考URL ダイブコンピューターの正しい使い方
ダイビングを計画するときは体調管理をしっかりと行い、体調が悪い場合はダイビングを避けるようにして下さい。体調不良も減圧症(潜水病)の可能性を高めてしまいます。
ナイトロックス(エンリッチドエア)
又、減圧症(潜水病)のリスクを軽減するために、海外を中心にエンリッチドエアと呼ばれるタンクが注目されています。通常の空気の成分は79パーセントが窒素、21パーセントが酸素で構成されていますが、エンリッチド・エアは酸素を加えて21パーセントより多い、窒素・酸素の混合ガスのことを指します。
エンリッチドエアは酸素を加えることにより窒素を減らして減圧症のリスクを軽減します。減圧の許容範囲を広げることが可能になり、通常のダイビングに比べて時間的に余裕を持つことができます。
- 参考URL エンリッチドエア・ナイトロックスの正しい知識
減圧症(潜水病)についてのまとめ
通常の生活では減圧症(潜水病)は聞きなれない症状かも知れません。しかし、ダイビングでは減圧症(潜水病)はとても身近な病気になります。減圧症(潜水病)は繰り返す場合があります。減圧症(潜水病)のため、ダイビングができなくなる可能性があります。
ダイバーの方は減圧症(潜水病)を正しく理解をして安全にダイビングを楽しみましょう。
当スクールでは、リフレッシュダイビングを通じて、基本的な減圧症(潜水病)の知識、ダイブコンピューターの使い方をご案内しています。リフレッシュダイビングはダイビングの期間が空いてしまってブランクのあるダイバーやダイビングライセンスを取得してから経験が少ない方も安心してファンダイビングが楽しめるためのコースです。
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