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酸素中毒の危険性について

酸素中毒・中枢神経系酸素中毒(CNS)の危険性

ダイビングは水中で空気を呼吸します。ダイビング器材によってフィルターを通じて濾過していること以外は陸上で普通に呼吸している空気と同じです。空気の成分は酸素20.95%、窒素78.0%、そして10数種類のガス0.97%になります。
 
人間が生きるには酸素が必要ですが、高圧下では酸素は有毒にもなります。ある特定の深度より深いところで呼吸すると酸素中毒が生じる危険があります。酸素の割合が高ければ高いほど、ダイビングで使える深度の限界は浅くなります。
 
酸素中毒は、高分圧の酸素を呼吸した場合、もしくは高分圧の酸素を長時間、続けて呼吸することによって、身体に様々な異常を起こし最悪の場合は死に至る症状です。
 
空気を使ってダイビングしているときに、酸素中毒を防ぐには一般的なレジャーダイビングの限界である40Mを超えなければ、危険性はほとんどありません。しかし、酸素の割合が21%を超えるガスを使っていると浅い深度でも、その中に含まれる酸素が有毒になる危険があります。例えば医療用などでも使用される純酸素(100%)を使用すると、わずか6Mで酸素中毒を起こしてしまう危険性があります。
 
通常のダイバーは純酸素(100%)を使いませんが、テクニカルダイバーは浮上の際に6Mより浅い水深で純酸素(100%)を使用します。テクニカルダイバーはトレーニングを受けて酸素耐性規格の器材を使い潜ります。
 


 

酸素中毒の種類

酸素中毒は全身の激しい痙攣などを発症し最悪の場合は死亡します。このような症状を急性の酸素中毒と呼びます。また、酸素分圧が急性の酸素中毒を発症するほど高くなくても、ある程度の高い分圧の酸素を長時間、続けて呼吸すると、肺の障害などさまざまな症状が発生します。これを慢性の酸素中毒と呼ぶこともあります。
 
酸素中毒を防ぐためには、呼吸ガス中の酸素分圧は通常で1.4気圧以下、特別な場合でも1.6気圧以下に保ち、酸素分圧に応じた潜水時間の制限を設けることが必要になります。
 
酸素中毒とナイトロックス

酸素中毒の影響は主に以下の3つに分類されます。

  • 中枢神経系(CNS)
  • 高圧条件下で発生する。意識喪失に引き続いた痙攣を特徴とする。短時間の硬直の発作。

  • 長時間の酸素加圧下の環境で呼吸困難と胸の痛みが発生する。

  • 眼(網膜症)
  • 長時間の酸素加圧下の環境での呼吸時に発生する、眼の変化が特徴である。
    近視や網膜の部分的な剥離を引き起こす可能性がある。

ダイビングでは、特に中枢神経系(CNS)の酸素中毒に注意が必要です。肺や眼(網膜症)の酸素中毒は長時間の環境によって発生します。しかし、中枢神経系(CNS)の酸素中毒は酸素濃度によりますが、ある一定の深度を超えると短い時間でも発生します。

中枢神経系(CNS)の酸素中毒

中枢神経系(CNS)の酸素中毒では、水中でダイバーに痙攣が発生します。痙攣自体はそれほど危険ではありませんが、水中でレギュレーターが外れてしまう可能性があります。また、浮力を調整するのが困難になり、浮上することができなくなってしまう場合があります。
 
中枢神経系(CNS)の痙攣は徴候や症状が出る場合もありますが、何の警告もなく生じる場合もあります。徴候や症状は少しずつ出て、だんだん悪化していきます。
 
酸素中毒を警告する徴候と症状には以下のものがあります。

  • 視覚狭窄(トンネルビジョン)などの視覚障害
  • 耳鳴りなどの聴覚障害
  • 吐き気
  • 筋肉のひきつり、顔の筋肉の痙攣
  • イライラ、落ち着きがない、幸福感や不安感
  • めまい

中枢神経系(CNS)の酸素中毒の徴候や症状がある場合は、安全な浮上速度を守りながら浮上します。
 
中枢神経系(CNS)の酸素中毒の直接的な要因は、酸素濃度と深度によりますが、2次的要素として激しい運動があります。呼吸が早くなれば、酸素を吸収する量も増えてしまいます。また、薬の成分によっては中枢神経系を刺激する成分があり、酸素中毒を発生しやすくなる場合があります。
 

酸素分圧(PO2)

一般的なレジャーダイビングの場合もナイトロックス(エンリッチドエア)を使用してダイビングを楽しみます。ナイトロックスの酸素の割合は22%以上です。酸素中毒を防ぐために、空気を使ってダイビングしているときよりも最大水深を浅くする必要があります。酸素中毒を防ぐためにはナイトロックスの酸素分圧と深度に基づいて呼吸する酸素濃度を測定する必要があります。
 
酸素分圧とは、ガスに含まれる酸素の圧力を指します。PO2と表記します。PO2は、酸素の割合とその深度の絶対圧を乗じて求めます。例えば、酸素40%のナイトロックスを使用して水深30Mで呼吸をすると0.4×4の計算になり、PO2は1.6ata/barになります。酸素の割合が高く、より深いダイビングでは、酸素分圧も高くなります。
 

深度
気圧(絶対圧)空気のPO2(酸素分圧)EAN32のPO2(酸素分圧)EAN40のPO2(酸素分圧)
0 M1 ata/bar0.21 ata/bar0.32 ata/bar0.4 ata/bar
10 M2 ata/bar0.42 ata/bar0.64 ata/bar0.8 ata/bar
20 M3 ata/bar0.63 ata/bar0.96 ata/bar1.2 ata/bar
30 M4 ata/bar0.84 ata/bar1.28 ata/bar 1.6 ata/bar
40 M5 ata/bar1.05 ata/bar 1.6 ata/bar 2.0 ata/bar

 
テクニカルダイビングで世界最大の指導団体TDIの統計では、人間の酸素分圧の許容限界は1.4ata/barになります。絶対限界は1.6ata/barと考え、万一の場合に使用します。
 
時間の限界については酸素暴露時間限界、酸素暴露限界、酸素露出限界と呼ばれます。酸素暴露時間限界はPO2に関係します。1回のダイビングでPO2が1.4ata/barの場合は150分になります。また、複数回のダイビングの場合は合計で180分になります。
 
酸素中毒とテクニカルダイビング

ダイバーが酸素中毒にならないようにダイビングするためには、常にPO2を1.4ata/bar以下で計画して、酸素暴露時間限界を超えないようにする必要があります。しかし、通常のレジャーダイビングで空気を使用している場合は窒素が蓄積することによって発生する減圧症のほうがダイバーにとって身近な症状になります。
 
例えば、空気の酸素は21%のため、PO2が1.4ata/barを超える深度は56M以上になります。56Mに150分潜ろうとする一般のダイバーはいないと思います。
 

酸素中毒のまとめ

通常の空気を使用してレジャーダイビングを楽しむ場合には、ダイバーにとって酸素中毒はあまり身近ではないかもしれません。それよりも減圧症や窒素酔い(ガス昏睡)など、別の症状のほうが身近です。しかし、レジャーダイビングでも普及してきているナイトロックス(エンリッチドエア)は22%から40%までの酸素濃度のガスを使用します。
 
EAN32のナイトロックスを使用して30Mの中層を泳いでいるときに、トラブルが起こり、40Mの水底に落ちてしまい、PO2が1.6ata/barになってしまうかもしれません。中枢神経系(CNS)の酸素中毒によって痙攣を発生してしまい、浮上することができなくなってしまうかもしれません。水中で正常に動作することができなくなってしまうと、すぐに死に直結する危険性があります。
 
ナイトロックス(エンリッチドエア)を使用する場合はPO2の分圧に注意して、余裕をもった計画を立てるようにしてください。
 
テクニカルダイビングではアドバンスナイトロックスがあり、40%から100%までの酸素濃度のガスを使用します。深度に合わせて複数のガスを水中で交換します。間違ったガスを選択すると大変なことになります。
 
酸素中毒は水中で発生する症状です。危険性はとても高いです。ナイトロックスやテクニカルダイビング用の器材は、正しいトレーニングを受けて、知識と経験を身につけてから使用するようにして下さい。
 
 

関連記事について

当サイトでは以下の記事に今回の「酸素中毒の危険性について」の関連記事をアップしています。

是非、参考にしてください。

投稿者のプロフィール

空 良太郎
北海道小樽市生まれ。サイパンのMOCダイブセンター、タイのサムイダイビングサービスで勤務。2011年に沖縄ダイビングスクール ワールドダイビングを設立。世界的な水中写真家達と出会い、水中撮影を始める。水中写真はフォトグラファーの矢内大介氏、水中カメラマンの増子均氏が師匠。現在まで数多くのTV番組や書籍、図鑑、企業などに写真を提供する。

サイパン時代に、IANTD本部の近藤正義氏と出会いテクニカルダイビングを始める。現在はSDI/TDI/ERDI JAPAN代表の加藤大典氏が師匠。SDI/TDIインストラクター、IART(国際テクニカル協会)インストラクター。テクニカルダイビングの普及にも取り組んでいる。
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