
今回はダイビング器材のBCDとレギュレーターの器材セッティングの手順を分かりやすく徹底解説します。
オープンウォーターのライセンス取得コースでは器材セッティングは必須で学習します。しかし、ライセンスの取得後は忘れやすく、その後のファンダイビングでは器材セッティングができないダイバーがとても多いです。
記事の最初に動画でダイビングの器材セッティングの手順をわかりやすく解説します。
記事は「タンクのチェック」、「BCDの装着」、「BCDのバックルの閉め方」、「レギュレーターの装着」、「BCDインフレーターと予備の空気源」、「タンクバルブを開く」、「BCDとレギュレーターの動作チェック」、「まとめ」に分けて紹介します。
器材セッティングはとても重要です。器材のセッテイングは正しくセッティングしないと自分の命にかかわる大事な準備です。ダイビングショップのガイドやインストラクターにセッティングしてもらうのではなく、自分でしっかりと覚えましょう。
器材セッティングは、BCDやレギュレーターの種類、又はそれぞれのダイバーの考え方によって違いがあります。自分の教えてもらった手順や考え方と比較して、共感できたところは、ぜひ実践して下さい。
目次
動画で器材セッティングの手順を解説
動画 : 器材セッティング・BCD&レギュレーター【ダイビング編】
スキューバタンク(シリンダー)のチェック
器材セッティングの前に、スキューバタンクのチェックをします。スキューバタンクは略して「タンク」とも言います。又、教本などのマニュアルではシリンダーと言う場合もあります。
バルブカバー、もしくはテープを外してスキューバタンクのゴムのOリングを確認します。劣化やひび割れがある場合は、エア漏れの原因になります。新しいものに交換しましょう。
バルブカバーやテープは充填済みの空気が入っている印でもあります。使用後は元に戻さないようにします。
バルブをゆっくりと少しだけ開いて空気を出します。空気の出ている部分に手を当てて鼻を近づけて、匂いを確認します。無臭であれば問題ありません。オイル臭い匂いや異臭がある場合は、そのスキューバタンクは使用しないでください。
空気を出すときはゆっくりと少しだけ開きます。勢いよく空気が出てしまうとOリングが外れてしまう危険性があります。
BCD(浮力調整装置)の装着
参考 : ダイビング器材のBCD(浮力調整具)とは?各部の名称と使用方法
器材セッティングは毎回、同じ向きで行うと覚えやすいです。スキューバタンクのバルブを右側にするとタンクが正面を向きます。自分が器材を背負った時と同じ向きなので覚えやすいです。
そして、まずはBCDからセッティングしていきます。BCDは背中側が自分側に向くように持ちます。そして、スキューバタンクの前に持ち、上からタンクベルトを通していきます。タンクベルトの上部にある小さな輪も忘れずに通します。
一般的には、BCDの高さは首の上端の高さがスキューバタンクのバルブと同じ高さになるようにセッティングします。タンクベルトが高すぎるとタンクベルトからスキューバタンクが簡単に抜けてしまいます。
又、タンクベルトが低すぎると水中で泳いでいるときに後頭部がバルブにぶつかる場合があります。
BCDの種類にもよりますが、スキューバタンクの平らな部分の上端から、男性は指4本分、女性は手のひらぐらいがタンクベルトの高さになるようにセッテイングするとちょうどよい高さになります。
BCDのバックルの正しい閉め方
BCDのバックルの閉め方は間違えて覚えてしまっているダイバーの方も多いです。間違った閉め方では、エントリーや水中で外れてしまう危険性があります。タンクベルトを固定した後はスキューバタンクから抜けないかしっかり確認しましょう。




①~④の手順
②タンクベルトがまっすぐなのを確認して、右側にベルトを引っ張ります。
③バックルの一番外側にベルトを通します。
④バックルを右側に倒します。タングバンドに緩みがなければバックルがパチンと音をたてて閉まります。
バックルからベルトを完全に外してしまうと閉め方がわからなくなってしまう場合があります。その場合は落ち着いてバックルに書いてある番号通りにベルトを通します。ほとんどのタイプのバックルにベルトを通す番号が書かれています。
レギュレーター(呼吸器)の装着
参考 : レギュレーターの各部の名称と仕組みを分かりやすく徹底解説
次にレギュレーター(呼吸器)のセッティングです。ファーストステージ、セカンドステージ、予備の空気源(オクトパス)、中圧ホース、計器コンソール(残圧計)などの名称があります。
レギュレーターはメインのセカンドステージを右側にします。残圧計、中圧ホースは左側にします。予備の空気源(オクトパス)は、レギュレーターにより違いがあります。レンタル器材の場合は、インストラクターに確認しましょう。
写真のレギュレーターは右側になっています。又、寒い地域でドライスーツを使用する場合は、中圧ホースが1本多いです。ファーストステージのヨークスクリューは自分側にします。
レギュレーターの向きが決まったら、ファーストステージのヨークスクリューを緩めてダストキャップを外します。タンクバルブとファーストステージの凹凸を合わせてヨークスクリューを閉めていきます。
この時、ヨークスクリューは、指3本の力で止まるぐらいに閉めます。タンクバルブを開けて空気をレギュレーターに流すと、ヨークスクリューが締まり外れなくなります。
BCDインフレーターの装着&予備の空気源の固定
そして、中圧ホースをBCDのインフレーターに繋ぎます。中圧ホースの先端の金属部分はバネのスライド式になっています。しっかりと奥まで接続します。接続後にホースとインフレーターを引っ張ってみて抜けないか確認するようにしましょう。
予備の空気源(オクトパス)はバディに渡しやすいように長くできています。ぶらぶらさせておくと壊してしまったり、珊瑚や魚の住処を壊してしまう危険性があり、海の環境に良くありません。
オクトパスポケットやホルダーを使用して固定します。残圧計もホルダーなどで固定するとさらに良いです。
タンクバルブを開く
タンクバルブを開いて空気を送り込みます。タンクバルブを開くときは時計と反対回り、閉めるときは時計回りになります。
タンクバルブを開くときは、残圧計は高圧の空気が流れるため、ひびや亀裂が入っている場合、破裂する危険性があります。残圧計の表示画面は下に向けてください。
タンクバルブは最初はゆっくりとそっと開きます。器材に空気が流れて、エア漏れがないことを確認したら、通常のスピードでタンクバルブを全開まで開いてください。
以前は止まるところまで開いたら、半回転だけ戻していました。半回転戻すことにより、タンクバルブが開いているか、簡単に確認することができます。又、ぶつけたりして閉じなくなってしまうことも防ぎます。
しかし、間違えて戻し過ぎてしまうとダイビング中に空気が途中で吸えなくなってしまいます。現在は事故の防止のために全開まで開くように変更になりました。
残圧計の目盛りは日本国内の場合は180bar~200barほど入っていれば大丈夫です。それ以下の場合は交換しましょう。
BCD&レギュレーターの動作チェック

器材セッティングが終わったらBCDとレギュレーターの動作チェックをします。BCDは給気ボタン、排気ボタンを実際に押してみて、動作するか確認します。ブラダー(空気を入れるための浮き袋)にエア漏れがないかも確認します。
レギュレーターはセカンドステージのパージボタンを押してみます。鼻を近くに寄せて、出てきた空気の匂いを確認します。実際にマウスピースをくわえて何回か呼吸してみます。汚染された空気が混入している場合は異臭や変な味がします。
その場合は、そのスキューバタンクは使用しないでください。正常な空気は無味無臭です。

同様に予備の空気源(オクトパス)も確認するようにしてください。普段、予備の空気源(オクトパス)は使用していないことが多いので、いざという時に動作するか、特に確認が必要です。
レギュレーターの動作チェックで空気の匂いや味の確認ができます。器材セッテイング前の確認は必要ないかもしれません。
器材セッティングのまとめ

器材セッティングは、海外やリゾート地ではダイビングショップに毎回やってもらい、自分でやらないこともあります。オープンウォーターの講習の後、期間が空いていくと、どんどん忘れてしまいます。
ダイビング器材にトラブルがあったり、間違った方法で器材セッティングされていたり、2ダイブ目のダイビングの際にタンクチェンジがされていなかったり、重大なトラブルに繋がります。
又、自分で器材セッティングすると各器材やボタンの位置を確認することができます。安全のためにも、ダイビング器材は自分で器材セッティングする習慣を身に着けましょう。
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