
今回は深度100Mを超えるような大深度のダイビングで危険性がある「高圧神経症候群(HPNS)」を徹底解説します。
高圧神経症候群(HPNS)は研究者達の間でもいまだに解明されていない未解明の症状です。
高圧神経症候群は、大深度のダイビングで発症する危険性がある神経系の障害です。徴候と症状は手の震え、ケイレン、吐き気、目まい、運動能力の低下、思考力も低下などがあります。
記事の内容は「高圧神経症候群(HPNS)とは?」、「高圧神経症候群(HPNS)の対処法」、「テクニカルダイビングとは?」、「ダイビングによる呼吸ガスの影響について」、「高圧神経症候群(HPNS)のまとめ」に分けて紹介します。
高圧神経症候群(HPNS)について知ることはとても重要です。高圧神経症候群(HPNS)を知らないで大深度潜水を行うと思考力の低下で左右のガスを間違えて重大なトラブルに繋がってしまうかもしれません。
大深度のダイビング計画を立てている方やこれからテクニカルダイビングを始める方には必見の内容です。
高圧神経症候群(HPNS)とは?

高圧神経症候群は、100Mを超えるような大深度のダイビングで発症する危険性がある神経系の障害です。浮上中の減圧時に現れる減圧症(潜水病)とは異なり、潜降中の加圧の段階で発症します。
高圧神経症候群は英語ではHigh Pressure Nervous Syndromeと言います。又、略して頭文字でHPNSとも言います。
ディープダイビングや大深度のダイビングでヘリウムは「窒素酔い」の影響を抑えます。しかし、大深度では窒素酔いだけではなく、高圧神経症候群(HPNS)の影響も現れます。窒素酔いに関しては以下のページに詳しく記載しています。
高圧神経症候群(HPNS)は呼吸ガスの窒素とヘリウムの割合によりますが、深度90Mから起き、120Mより深いダイビングではさらに起きやすくなります。主に潜水士などの作業ダイビングで問題になっています。
近年では大深度のダイビングを楽しむテクニカルダイビングでも高圧神経症候群(HPNS)への関心が高まっています。

窒素酔いと同様に高圧神経症候群(HPNS)は神経系に影響を与えますが徴候も症状も異なります。高圧神経症候群(HPNS)の徴候と症状は手の震え、ケイレン、吐き気、目まい、運動能力の低下、思考力も低下などがあります。
ダイバーは周囲に無関心になったり、注意を払わなくなったり、左右の手が見分けられないといった徴候が見られます。ダイビング後も疲労や記憶障害が残ることもあります。高圧神経症候群(HPNS)のかかりやすさには個人差があります。
生理学者は高圧神経症候群(HPNS)のメカニズムを解明できていません。現在のところ、圧力下にあるヘリウムが神経系の生化学プロセス、もしくは神経系と関係している生化学プロセスを妨害しているという仮説が出されています。
多くの研究がヘリウムガスは末梢神経系の機能をいくつかの方法で妨害していることを示しています。どのメカニズムに関しても、はっきりとしたデータはありません。
可能性としていくつかの生化学的要因が高圧神経症候群(HPNS)を引き起こしていると言われています。研究者は潜降速度(ガス圧縮)が早いほど高圧神経症候群(HPNS)がはっきりと現れるとしています。
高圧神経症候群(HPNS)の対処法

高圧神経症候群(HPNS)の原因についてはいまだに解明されていませんが最小限に食い止める方法についてはいくつかあります。
最も一般的なのは呼吸ガスに窒素(ケースによっては水素)を混合することです。窒素(N₂)、ヘリウム(He)、酸素(O₂)の3つのガスを混ぜ合わせた呼吸用混合ガスをトライミックス(Trimix)と言います。
トライミックスを使用すると、軽い窒素酔いが起こり、高圧神経症候群(HPNS)を抑えるからです。
もう一つの対策としては段階を踏んでゆっくりとしたペースで潜降することです。浮上中の減圧停止と似たイメージで潜降するときに一定の深度で停止して潜降速度を遅くします。
又、潜降中に高圧神経症候群(HPNS)の症状を感じたら浮上して深度を浅くすると高圧神経症候群(HPNS)を抑えることができます。深度を浅くしても高圧神経症候群(HPNS)の症状が改善しない場合はダイビングを中止にします。
テクニカルダイビングとは?

テクニカルダイビングは海外では人気のある最も新しい魅力の高いダイビングスタイルのひとつです。
テクニカルダイビングとは、頭上が覆われた洞窟(ケーブ)へのダイビングや沈没船へペネトレーション(内部進入)したり、深度40M以上の大深度潜水のダイビングを楽しむ通常のダイビングの範囲を超えたダイビングスタイルです。
テクニカルダイビングでは100Mを超えるような大深度潜水もヘリウムやトライミックスの混合ガスを使用して楽しみます。
日本国内は残念ながら海外と比べるとテクニカルダイビングの発展途上国になります。日本国内では誤解が多く、危険なイメージがあり、レジャー(遊び)の範囲を超えた専門的なイメージがあるのが現状です。
しかし、本来のテクニカルダイビングはレジャー(遊び)の範囲で安全に一般人がダイビングを楽しむことができる最先端の素晴らしいダイビングスタイルです。テクニカルダイビングについては以下のページをご覧ください。
ダイビングによる呼吸ガスの影響について

以下に、ダイビングによる呼吸ガスの影響に関連する記事を紹介します。
- 知らないと怖い減圧症(潜水病)について分かりやすく徹底解説
- 窒素酔い(ガス昏睡)の症状と対処法を分かりやく徹底解説
- 知らないと怖い酸素中毒の危険性について分かりやく徹底解説
- ダイビングの一酸化炭素中毒(汚染空気)を分かりやく徹底解説
- 知らないと怖い低二酸化炭素血症(ハイポカプニア)を徹底解説
- 知らないと怖い二酸化炭素中毒(ハイパーカプニア)を徹底解説
- ダイビングの低酸素症(ハイポキシア)を分かりやく徹底解説
高圧神経症候群(HPNS)のまとめ
今回は深度100Mを超えるような大深度のダイビングで危険性がある「高圧神経症候群(HPNS)」を徹底解説しました。
高圧神経症候群は、大深度のダイビングで発症する危険性がある神経系の障害です。徴候と症状は手の震え、ケイレン、吐き気、目まい、運動能力の低下、思考力も低下などがあります。
高圧神経症候群(HPNS)の対処法で最も一般的なのは呼吸ガスに窒素(ケースによっては水素)を混合することです。もう一つの対策としては段階を踏んでゆっくりとしたペースで潜降することです。
テクニカルダイビングでは100Mを超えるような大深度潜水もヘリウムやトライミックスの混合ガスを使用して楽しみます。

ダイビングによる呼吸ガスの影響については関連する記事のリンクをご参考下さい。
高圧神経症候群(HPNS)について知ることはとても重要です。高圧神経症候群(HPNS)を知らないで大深度潜水を行うと思考力の低下で左右のガスを間違えて重大なトラブルに繋がってしまうかもしれません。
大深度のダイビング計画を立てている方やこれからテクニカルダイビングを始める方には必見の内容です。
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