今回はダイビングの安全停止と減圧停止(緊急減圧停止)の違いを分かりやすく徹底解説します。
ダイバーは、ほとんどの方が安全停止は知っていると思います。ダイビングでは終了時に水深5Mで3分間の安全停止をします。
しかし、減圧停止や緊急減圧停止については言葉は聞いたことはあっても、詳しく知らないダイバーが多いと思います。又、安全停止もなぜ必要なのか忘れてしまったダイバーもいると思います。
記事の内容は「安全停止とは?」、「ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)」、「減圧停止(緊急減圧停止)」、「減圧症(潜水病)について」、「安全停止と減圧停止(緊急減圧停止) まとめ」に分けて紹介します。
普段のダイビングでガイドの指示に合わせて安全停止しているけど、なぜ安全停止しているのか忘れてしまったダイバーや、安全停止は知っているけど減圧停止(緊急減圧停止)はよく分からないダイバーには必見の内容です。
ダイビングは安全停止と減圧停止(緊急減圧停止)の違いを理解することによって、減圧症(潜水病)の危険性を回避してさらに安全に楽しめるようになります。
安全停止とは?

安全停止とは浮上の途中で深度6Mから3Mの間(一般に5M)で3分間~5分間の停止をすることです。
安全停止することによって全体的にゆっくりと浮上することになり、溶け込んだ窒素を身体からさらに排出させる時間ができます。安全停止は肺の過膨張障害と減圧症の危険性を減らすのに役立ちます。
目標物があった方が安全停止はしやすくなります。水底が5Mに近い場所やロープ付近がおすすめです。又、安全停止の深度を守りながら周辺を探索したり、写真を撮ったりすることは問題ありません。
ダイブテーブルではグレーの部分が安全停止が必要になっています。しかし、ダイブコンピューターではほとんどのダイビングで5Mの深度になると安全停止の3分間がカウントします。
ダイブコンピューターの安全停止のカウントを確認してから浮上するようにしましょう。又、最大深度が10M以下など非常に浅い場合は安全停止の深度範囲で潜っているので安全停止をする必要はありません。
安全停止は空気が少ないときなど緊急事態が生じた場合には必ず安全停止をする必要はありません。
ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)
ノンストップリミットは簡単に説明すると、ダイビング中にその深度に滞在できる最大の時間を指しています。ノンストップリミットを越えてしまうと潜水病の減圧症になってしまう危険性が高くなります。
通常のダイビングでは減圧症になる危険を冒すことなく、必要であればいつでも水面へ直接浮上することのできるダイビングを計画します。これを「ノンストップダイビング」や「減圧不要ダイビング」と言います。
ノンストップリミットとはその深度に滞在できる最大の時間で、その時間内であれば水面に直接浮上できます。ノンストップリミットを越えてしまった場合は減圧症の危険性を抑えるために減圧停止をしなくてはいけません。
「ノンストップリミット」、「減圧不要限界」、「NDL」は言葉が違うだけで3つとも同じ意味を表しています。昔のオープンウォーターのマニュアルではノンストップリミットではなく、「減圧不要限界」と記載されていました。
減圧停止(緊急減圧停止)について
ノンストップリミットを越えてしまった場合には1回または複数回の緊急減圧停止をしなければいけません。安全停止と違って緊急減圧停止は理論上の窒素レベルの許容範囲を越えないために必ずしなければいけません。
安全停止は余裕を持って限度内にとどまるために行います。緊急減圧停止はダイバーを限界内に戻すために行います。
通常のダイビングでは、緊急減圧停止が必要になるのは緊急の場合のみです。ほとんどが緊急減圧停止が必要になるのは3Mもしくは6Mなどで1回のみです。大幅にノンストップリミットを越えてしまうと複数回の減圧停止が必要になります。
ダイブコンピューターはノンストップリミットを越えてしまうと減圧モードに入ります。減圧モードのダイブコンピューターは緊急減圧をする深度と時間が表示されます。
空気が少ないなどで減圧停止をしなかった場合は浮上後に応急手当として純酸素を呼吸して減圧症の症状が出ないか確認します。少なくても24時間以上はダイビングをしてはいけません。
テクニカルダイビングでは事前に計画を立ててノンストップリミットを越える減圧ダイビングを行います。テクニカルダイビングでは緊急減圧停止ではなく、事前に計画を立てて、減圧停止を複数回行います。
減圧症(潜水病)とは?
減圧症(潜水病)は通常はあまり耳にしない言葉かも知れません。しかし、ダイビングでは減圧症はとても身近な病気になります。
減圧症とは、スキューバダイビングで血液や細胞に溶け込んでいた窒素が許容限度内を越えてしまうと、浮上によって気泡となり、細胞を傷つけたり、血管を塞いだりすることで発症する潜水病です。
スキューバダイビングでは圧力が増えるのに伴って呼吸する空気に含まれる窒素が吸収されて身体の細胞に溶け込みます。ダイビングで身体が吸収する窒素の量に影響する要素は深度(圧力)と時間になります。
深度が深ければ深いほど圧力が大きくなり窒素はより速く細胞に溶け込みます。又、スキューバダイビングしている時間が長いほど窒素が細胞に溶け込む時間が長くなります。
人間の身体に吸収された窒素は浮上して圧力が減ると細胞に溶け込んだ状態を維持できない窒素が増えていきます。余分な窒素は細胞から溶け出します。溶け出した窒素は血流に乗って肺に運ばれて吐く息とともに体外へ排出されます。
余分な窒素の量が許容限度内であれば数時間たてば問題なく身体から排出されます。
しかし、体内に溶け込んだ窒素の量が多いと浮上して水面に出た時に、窒素が細胞から溶け出す速度のほうが身体から排出される速度より速くなってしまいます。その結果、血液や細胞の中に窒素の気泡が形成されます。
体内に形成される気泡は減圧症と呼ばれる非常に重大な医学的問題を引き起こします。
安全停止と減圧停止(緊急減圧停止) まとめ
今回はダイビングの安全停止と減圧停止(緊急減圧停止)の違いを分かりやすく徹底解説しました。
安全停止とは浮上の途中で深度6Mから3Mの間(一般に5M)で3分間~5分間の停止をすることです。
安全停止することによって全体的にゆっくりと浮上することになり、溶け込んだ窒素を身体からさらに排出させる時間ができます。安全停止は肺の過膨張障害と減圧症の危険性を減らすのに役立ちます。
ノンストップリミットは簡単に説明すると、ダイビング中にその深度に滞在できる最大の時間を指しています。ノンストップリミットを越えてしまうと潜水病の減圧症になってしまう危険性が高くなります。
ノンストップリミットを越えてしまった場合には1回または複数回の緊急減圧停止をしなければいけません。安全停止と違って緊急減圧停止は理論上の窒素レベルの許容範囲を越えないために必ずしなければいけません。
安全停止は余裕を持って限度内にとどまるために行います。緊急減圧停止はダイバーを限界内に戻すために行います。
減圧症とは、スキューバダイビングで血液や細胞に溶け込んでいた窒素が許容限度内を越えてしまうと、浮上によって気泡となり、細胞を傷つけたり、血管を塞いだりすることで発症する潜水病です。