今回はダイビングの一酸化炭素中毒(汚染空気)を分かりやく徹底解説します。設備の整っている国内のダイビングショップであれば、ダイビング中に汚染空気を吸ったことによる一酸化炭素中毒のトラブルはあまり起きません。
ダイビング器材をセッティングするタイミングでタンクバルブを開けて、臭いを確認します。オイル臭いにおいなどがあれば使用しないで下さい。ダイビング中もレギュレーターからの空気に変なにおいや味を感じた場合はダイビングを中止してください。
ダイビング中に汚染空気を吸ってしまった場合の症状は、頭痛、吐き気、めまいが発生します。重度の場合は水中で意識を失うこともあります。又、唇と爪が赤くなるのも一酸化炭素中毒の症状のひとつです。
記事の内容は「一酸化炭素中毒(汚染空気)とは?」、「一酸化炭素中毒(汚染空気)の原因」、「一酸化炭素中毒(汚染空気)の症状」、「一酸化炭素中毒(汚染空気)の対処法」、「一酸化炭素中毒(汚染空気)のまとめ」に分けて紹介します。
ダイバーにとって一酸化炭素中毒(汚染空気)の問題はとても重要です。この記事を読むことによってダイビングの一酸化炭素中毒(汚染空気)の原因と症状を理解して未然に対処することができるようになります。
目次
一酸化炭素中毒(汚染空気)とは?
一般的に一酸化炭素中毒のほとんどはダイビング以外で起きています。しかし、ダイビング中に圧力下で一酸化炭素を呼吸すると深刻で複雑な問題につながります。
一酸化炭素が人体に危険な理由は一酸化炭素は酸素の200倍の速さでヘモグロビンと結合することと、簡単には分離しないことにあります。一酸化炭素が血液の流れに入り込むと循環器系から排出されるまで8時間~12時間ほど必要です。
その上、一酸化炭素は各組織のさまざまな生化学反応に必要な酸素と結合してしまいます。
一酸化炭素で汚染された空気をダイバーが呼吸すると肺胞にやってくる血液中のヘモグロビンは一酸化炭素と結合して炭化ヘモグロビンを形成します。炭化ヘモグロビンはヘモグロビン分子を拘束したままなので酸素が運搬できません。
もともと、ヘモグロビンは酸素と結合して組織では酸素を放出するのですが、一酸化炭素と結合したヘモグロビンは組織に到達しても酸素を放出できません。
ダイバーが一酸化炭素を呼吸し続けると更にヘモグロビンと結合し続け、酸素を運ぶ赤血球は減り続けます。気がつかないままでいると組織に酸素を運ぶ血液の能力が失われて一酸化炭素が低酸素症(ハイポキシア)を起こさせることになります。
ダイビングはこの仕組みをさらに複雑にします。深度下では一酸化炭素がヘモグロビンと結合してもダイバーは十分な酸素を得られます。深度下で分圧の上がった酸素は水面より多い酸素を血液に運搬できるため、一酸化炭素のの徴候が現れるのも遅れます。
ところがダイバーが浮上すると酸素分圧が下がり血液は十分な酸素を運搬できなくなります。結果として低酸素症(ハイポキシア)が起こり、ダイバーは何の警告もないブラックアウト(意識喪失)を起こします。
また、喫煙が一酸化炭素中毒(汚染空気)の原因になる場合もあります。生理学者の研究では喫煙には血液中の一酸化炭素を3倍~12倍に上昇させる作用があります。喫煙は酸素を供給して二酸化炭素を排出する体内組織の能力を弱めます。
特に冠状動脈疾患の人は要注意です。喫煙すると汚染されていない赤血球は体内組織のガス交換の要求に応じようとして循環が増します。その結果、血圧と心拍数が上がり、心臓を刺激します。
一酸化炭素中毒(汚染空気)の原因
ダイビングの一酸化炭素中毒はタンクの空気を充填するコンプレッサーに原因があります。コンプレッサーのメンテナンス不足やトラブルでタンクに一酸化炭素が流れ込むと汚染された空気がダイバーに供給されることになります。
タンクの空気を充填するコンプレッサーは特殊なフィルターと分離装置を使用してタンク内に汚染物質が混入しないようにしています。陸上であれば問題のない少量の汚染物質でも、圧力のかかった状態で吸うと有毒になる危険性があります。
汚染空気は変なにおいや味がすることが多いですが、一酸化炭素は無味無臭の場合もあり、気がつかないでダイバーが汚染空気を吸ってしまうこともあります。
さらにダイバーのグループ全員が同じコンプレッサーで充填されたタンクの空気を使用していると同時に一酸化炭素中毒(汚染空気)にかかる危険性があります。
一酸化炭素中毒(汚染空気)の症状
一酸化炭素中毒(汚染空気)の症状は頭痛、吐き気、めまいなどがあります。
又、一酸化炭素中毒(汚染空気)になると唇と爪が明るい赤色に変色します。これは他のガス中毒ではあまり見られない症状です。酸素と結合したヘモグロビンは赤く見えますが、一酸化炭素を結合したヘモグロビンはさらに赤くなります。
唇や爪の毛細血管は皮膚の表面近くを通っているので汚染した血液が流れるとき良く見えます。しかし、水中では赤色が吸収されるため分かりにくい場合があります。
重度の場合は低酸素症(ハイポキシア)が起こり、何の警告もないブラックアウト(意識喪失)を起こします。
一酸化炭素中毒(汚染空気)の対処法
ダイビング器材をセッティングするタイミングでタンクバルブを開けて、臭いを確認します。オイル臭いにおいなどがあれば使用しないで下さい。ダイビング中もレギュレーターからの空気に変なにおいや味を感じた場合はダイビングを中止してください。
一酸化炭素中毒(汚染空気)の疑いがあるダイバーには浮上後に新鮮な空気を吸えるようにしてあげて、酸素があれば与えます。
必要に応じて心臓マッサージと人工呼吸を行い救急隊に連絡します。軽度の場合でも病院には行くようにして下さい。
一酸化炭素中毒(汚染空気)のまとめ
今回はダイビングの一酸化炭素中毒(汚染空気)を分かりやく徹底解説しました。
一般的に一酸化炭素中毒のほとんどはダイビング以外で起きています。しかし、ダイビング中に圧力下で一酸化炭素を呼吸すると深刻で複雑な問題につながります。
ダイバーが一酸化炭素を呼吸し続けると更にヘモグロビンと結合し続け、酸素を運ぶ赤血球は減り続けます。気がつかないままでいると組織に酸素を運ぶ血液の能力が失われて一酸化炭素が低酸素症(ハイポキシア)を起こさせることになります。
ダイビングの一酸化炭素中毒はタンクの空気を充填するコンプレッサーに原因があります。コンプレッサーのメンテナンス不足やトラブルでタンクに一酸化炭素が流れ込むと汚染された空気がダイバーに供給されることになります。
一酸化炭素中毒(汚染空気)の症状は頭痛、吐き気、めまいなどがあります。又、一酸化炭素中毒(汚染空気)になると唇と爪が明るい赤色に変色します。これは他のガス中毒ではあまり見られない症状です。
ダイビング器材をセッティングするタイミングでタンクバルブを開けて、臭いを確認します。オイル臭いにおいなどがあれば使用しないで下さい。ダイビング中もレギュレーターからの空気に変なにおいや味を感じた場合はダイビングを中止してください。
ダイバーにとって一酸化炭素中毒(汚染空気)の問題はとても重要です。この記事を読むことによってダイビングの一酸化炭素中毒(汚染空気)の原因と症状を理解して未然に対処することができるようになります。
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