ダイビングライセンス・Cカードの指導団体を徹底解説
ダイビングにはさまざまな指導団体もしくは指導機関というものがあります。ダイビングのライセンスカード・Cカードはダイビングの指導団体が発行しています。指導団体とは、営利もしくは非営利の団体や会社でダイバーの育成・指導や安全管理、環境保全などの活動をしています。
国内・海外ともに有名な指導団体にはSDI(エスディーアイ)、PADI(パディ)、NAUI(ナウイ)、SSI(エスエスアイ)、BSAC(ビーエスアーシー)、CMAS(クマス)などがあります。現在、日本だけでも30以上のダイビング指導団体があります。
国内でダイビングを楽しむ場合は国内もしくは海外で有名(メジャー)なダイビング指導団体のライセンスカードであれば問題ありません。海外でダイビングを楽しむ場合は海外で有名(メジャー)なダイビング指導団体のライセンスカードが必要な場合があります。日本国内のみの指導団体は海外では認知度は低いのが現状です。
アメリカのRSTCsを通じてヨーロッパ、カナダ、日本が所属する世界基準の「WRSTC」に加盟していることや、「European Underwater Federation」と「The Austrian Standards Institute」により、国際標準化機構(ISO)の国際規格に適合していると認められていることも重要です。日本国内ではCカード協議会にも加盟している必要があります。
各ダイビングショップやインストラクターは、どこかの指導団体に所属して活動しています。そして発行されるライセンスカードはそのダイビングショップやインストラクターが所属している指導団体から発行されます。
各指導団体ではダイビングライセンスの種類はエントリーレベルのライセンスからプロレベルのライセンスまでランク分けされています。各指導団体によってライセンスカードの名称、トレーニング内容に違いがあります。
一般的にもよく聞くCカードは正式名称をCertification Cardといい、認定証の意味になります。このCカードはダイビングに関して定められた知識と技術(指導基準)を習得したことを証明するものになります。Cカードはエントリーレベルのライセンスカードという認識がありますが、正しくはライセンスカードの総称になります。
各指導団体の規準によって、同等のランクのライセンスをクロスオーバーすることが可能です。活動しているインストラクターによっては複数の指導団体に所属している方もいます。
世界・国内の有名なダイビング指導団体
SDI(エスディーアイ) WRSTC ISO Cカード協議会
SDIはテクニカルダイビング業界で最大のTDIが設立した指導団体です。テクニカルダイビングの経験をもとに、世界で最も急成長している指導団体です。SDIは世界100ヵ国以上で活動し、24のエリアオフィスを通して世界中にSDIのダイビングサービスとインストラクターが数千以上も所属しています。世界のCカードシェア率は35%以上になります。海外ではアメリカ、ヨーロッパ、韓国などで人気が高いです。
SDIは、それまでの昔からの古い教育プログラムを改善した次世代の新しい指導団体です。Cカードを取得しに来てくれた方が、「スキューバダイビングを楽しく学びながらも安全を確保すること」を基本的な考えとして、ダイバートレーニングプログラムを作ってきました。世界で唯一ソロダイビングプログラムを提供している指導団体でもあります。
SDIのライセンスには「オープン・ウォーター・スキューバダイバー」「スペシャルティダイバー」「アドヴァンスド・ダイバー」「レスキュー・ダイバー」「マスター・ダイバー」などがあります。
NAUI (ナウイ) WRSTC ISO Cカード協議会
1960年にアメリカでダイビングインストラクターコースを開催し、世界で初めてのスクーバダイビングの指導員組織が誕生したのをきっかけにはじまったNAUI。ダイビング指導団体として50年以上の歴史があります。世界100カ国以上に拠点があり、多くのインストラクターやダイバーを育ててきました。アメリカをはじめアジア、ヨーロッパ、南米、中東、南アフリカ、日本などを拠点に多くの世界でNAUIインストラクターが活躍しています。日本でも加盟店が多い団体で、高い信頼度を誇っています。
NAUIでは、個人個人の年齢や体格、能力などに合った指導をしてもらえます。指導を受ける人たちにはさまざまな個性や事情があるのだから、その人に合った指導を行うという方針です。そのため、体力に自信のない人や泳げない人でも安心して受講できます。年配の方にもおすすめです。
NAUIで取得できるライセンスには、「パスポートダイバー」「スクーバダイバー」「アドバンス・スクーバダイバー」「スペシャルティダイバー」「マスター・スクーバダイバー」などがあります。
PADI (パディ) WRSTC ISO Cカード協議会
PADIは本部をアメリカ・カリフォルニアに置き、日本をはじめ世界に7ヶ所のエリアオフィスを配置しています。1966年設立以来、2,000万枚以上のCカードを発行しており、全世界で年間約100万人のダイバーが、PADIの教育カリキュラムによる認定を受けています。その割合は世界で発行されるCカードの約4割がPADI発行のものだと言われています。
国内ではダイビング指導団体の代表的な存在です。日本の加盟ショップは最多。世界180カ国以上に約13万5000人のインストラクターを抱え、世界中で通用するライセンスを発行しています。PADIの指導カリキュラムはISOの認定を受けています。国際規格に適合していると認められた証しで、品質の高さを表しています。
PADIのライセンスには「オープン・ウォーター・ダイバー」「アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー」「レスキュー・ダイバー」「マスター・スクーバ・ダイバー」などがあります。
SSI (エスエスアイ) WRSTC ISO Cカード協議会
SSIは、国内外で通用するダイビングライセンス発行している指導団体です。設立は1970年アメリカです。アメリカのCカードシェアはPADIに次ぐ2番目です。35%のシェア率があります。世界に2,400店以上の加盟店を持ち、110か国以上の地域でダイビングができるライセンスを発行しています。
SSIは特殊で「SSIと提携できるのは事業者(ダイビングショップのみ)」としています。その認定基準の高さは、他の団体をはるかにしのぎ、指導の品質の高さは世界トップクラスです。
SSIは、ダイビングは経験を積むごとに「習慣」となり、それによってダイビングの快適さが増していくという考え方を持っています。そのため、ライセンスの発行についても経験を重視しています。他の指導団体と同じ「アドバンス」の資格であっても、SSIは24回以上のダイビング経験が必要になります。他の指導団体では9回のダイビングでも「アドバンス」を取得できる場合があります。そのため、ダイビングの世界ではSSIの「アドバンス」のほうがグレードが高いと認識されています。
SSIで取得できるライセンスは「オープンウォーターダイバー」「スペシャルティコース」「スペシャルティダイバー」「アドバンスド・オープンウォーターダイバー」「マスターダイバー」などがあります。
BSAC (ビーエスエーシー) WRSTC ISO Cカード協議会
「BSAC」とは、The British Sub Aqua Clubの略称で、1953年に英国のロンドンで設立されました。半世紀以上にも及ぶ活動は、国際的な安全ダイビングの普及と海洋への探求と科学に貢献し、現在では世界中に支部があります「安全最優先」というポリシーのもとに構築され、ダイビングで抱えているリスクを、いかにダイバーの自己責任において回避し、安全に、計画的に、実行していくかということを重視しています。
BSACは、英国王室とも深い関わりを持ち、歴代の名誉総裁は王室から輩出されています。その歴史と伝統は、今も世界中のダイバーからの厚い信頼を得ています。
日本で受講する場合、日本の海に合った独自のプログラムで指導を受けることができます。日本に合わせてつくられたプログラムで基礎知識から高度なテクニックまで学べるため、効果的に学習を進められます。国内のダイビングショップでも歴史の長い、老舗の名ショップが登録されています。
BSACで取得できるライセンスには、「オーシャンダイバー」「スクーバ―ダイバー」「オーシャンダイバープラス」「スポーツダイバー」「ダイブリーダー」などがあります。
CMAS (クマス)
CMASは1959年にフランスで設立された国際的な「世界水中連盟」です。CMASはフランス語で「世界水中連盟」という意味の略です。世界118カ国が加盟する国際機関で水中活動の国連ともいうべき非政府の組織です。
ダイビングはもちろん、水中の乗り物や設備、水中科学など、広い分野で活動しています。1986年には国際オリンピック委員会にも加盟しています。世界各国で水中レジャー活動を提供する施設のうち、CMASの基準でサービスを行っているのは1万3000カ所以上になります。またレジャー面だけでなく、科学ダイバーなどの人材も数多く輩出しています。
各組織の連盟のため、WRSTC、ISO、日本国内のCカード協議会は各組織ごとに必要になります。日本ではJCIAが代表組織になり、ダイビング指導団体のSTARSやJEFFがCカードを発行しています。
CMASで発行しているライセンスとしては、「ベーシックダイバー」「オープンウォーターダイバー」「アドバンススペシャリティ」「アドバンスドオープンウォーターダイバー」「レスキューダイバー」「マスターダイバー」「グランドマスター」などが挙げられます。
その他のダイビング指導団体
上記以外にも日本国内にはDACS、JP、JUDF、JCSなどのダイビング指導団体があります。又、質の高いトレーニング基準と、世界最先端のダイビング知識を学べる指導団体として1994年にイタリアで誕生した指導団体SNSIが2017年ついに日本上陸しました。
レジャー向けのダイビング指導団体だけではなく、テクニカルダイビングの世界的な指導団体、IANTD、、IART、TDI、GUE、ANDIなどがあります。詳細はテクニカルダイビング指導団体【徹底解説】をご覧ください。
ダイビング指導団体の選び方
ダイビングライセンスを取得する場合、自分の考えやスタイルに合ったダイビング指導団体を選ぶことができます。
世界的にも、国内にも認知度の高い指導団体のSDI(エスディーアイ)、PADI(パディ)、NAUI(ナウイ)、SSI(エスエスアイ)、BSAC(ビーエスアーシー)、CMAS(クマス)のライセンスであれば問題ありません。ダイビングライセンスを取得後、潜れない国や地域はありません。
ダイビングショップや一緒に潜るインストラクターが違うダイビング指導団体の場合でも問題なくダイビングを楽しむことができます。ダイビングライセンスを取得する場合にダイビング指導団体の種類を選ぶことも必要ですが、ダイビングショップの安全管理や管理体制、そのお店で働くインストラクターの経験や人柄の方が大切かもしれません。
ダイビングライセンスのランクなどの種類の違いはダイビングライセンス種類・徹底解説もご覧ください。