今回は、スキューバダイビングの「スクイズ」と「圧平衡」を分かりやすく徹底解説します。スクイズと圧平衡についてはダイビングライセンスを取得するオープンウォーターのコースで学びます。
記事の内容は「スクイズとは?」、「圧平衡とは?」、「耳のスクイズと圧平衡」、「サイナス(副鼻腔)のスクイズと圧平衡」、「ダイビングマスクのスクイズと圧平衡」、「歯のスクイズ」、「風邪やアレルギーと圧平衡」に分けて記載します。
これからオープンウォーターのコースを受講する予定の方や、オープンウォーターのコースを受講してから期間が空いてしまい、スクイズや圧平衡について忘れてしまった方には必見の内容です。
ダイビングに影響するスクイズや圧平衡はとても重要です。スクイズや圧平衡を知らないと耳抜きだけではなく、サイナス(副鼻腔)やダイビングマスク内の顔などを痛めてしまうかも知れません。
この記事を読むことによって、「スクイズ」と「圧平衡」について学び、さらに安全にダイビングを楽しめるようになります。
スクイズとは?
身体の大半は水分でできていて、増加する圧力を感じませんが体内空間や身体に接している「空間」は増加する圧力の影響を受けます。これは空間内に存在する空気が圧力によって圧縮されるためです。
空気の体積が減ると空間を取り巻いている身体の組織が水圧によって内側に押されるため、圧迫感を感じるようになります。
この圧迫感や不快感を「スクイズ」と言います。スクイズの影響を受ける3つの主な空間は「耳」、「サイナス(副鼻腔)」、「マスク」です。又、虫歯があると「歯」もスクイズの影響を受ける場合があります。
空間を圧迫している圧力を調整しないとスクイズになります。スクイズは不快感や痛みを引き起こし、そのままにしておくと、圧力のバランスが取れなくなり組織が空間の内側に押され、外圧性の外傷が生じる恐れがあります。
圧平衡とは?
潜降中に痛みや不快感を感じるのがスクイズです。このスクイズは簡単に防止できます。潜降しながら空気を空間に送り込んであげれば良いのです。そうすれば空間内の圧力が外側の圧力と等しくなり、体積が変わることもなくなります。
これを「圧平衡」と言います。圧平衡はスクイズの起きている部位によって方法が異なります。
圧平衡できない場合は潜降をストップしましょう。インストラクターやバディにハンドシグナルで伝えましょう。
不快感がなくなるまで少し浮上してもう一度、圧平衡を行います。あせってはいけません。圧平衡できたら、こまめに圧平衡してゆっくりと潜降しましょう。又、それでも圧平衡できない場合はダイビングを中止しましょう。
圧平衡できていないのに潜降を続けると重大な傷害が生じる恐れがあります。
耳のスクイズと圧平衡
潜降中に耳に感じる不快感は、耳のスクイズによるものです。これは鼓膜と周囲の組織が圧力によって内側に押されることによって生じます。耳の圧平衡は鼻をつまんで、そっと鼻へ息を送り込みます。
そうすると肺からの空気が耳に送り込まれます。アゴを左右に動かしたり、ツバを飲み込む方法で圧平衡する人もいます。耳の圧平衡は一般的には「耳抜き」と呼ばれています。
圧平衡できていないのに潜降を続けると中耳に血液や体液がたまる、鼓膜が破れるなどの傷害が生じます。水中で鼓膜が破れると平衡感覚を失って激しいめまいが生じ、医師の治療が必要になります。
耳抜きのコツは、耳抜きを行うタイミングがとても大事です。浅いところから痛くなくても早めにやることです。潜降がはじまったらすぐに始めます。潜降時は呼吸を整えながらで良いので、なるべく多く、こまめにやりましょう。
サイナス(副鼻腔)のスクイズと圧平衡
潜降中に頬骨の上、額の中央、鼻の両脇に沿って生じる不快感はサイナスのスクイズになります。サイナスの圧平衡は耳と同じです。鼻をつまんで、そっと鼻へ息を送り込みます。
そうすると肺からの空気が耳に送り込まれます。アゴを左右に動かしたり、ツバを飲み込む方法で圧平衡する人もいます。
「サイナス」は日本語で「副鼻腔」を意味します。副鼻腔は、鼻腔の周囲にある骨で囲まれた空洞のことです。具体的には、上顎洞、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞の4種類があります。
これらの空洞は、鼻腔と自然口と呼ばれる小さな穴でつながっています。
普段、あまり不快感を感じていなくても風邪などで鼻が詰まっていると圧平衡しにくい場合があります。
ダイビングマスクのスクイズと圧平衡
潜降中に顔が引っ張られるような感覚や吸われるような感覚はダイビングマスクのスクイズです。ダイビングマスクの内部にある空気が圧力で圧縮されるためスクイズが発生します。
ダイビングマスクの圧平衡はマスクの中に鼻から息を送り込みます。スキューバダイビングで水泳用のゴーグルが使用できないのはこのためです。水泳用のゴーグルでは鼻がカバーされていないため、マスクの圧平衡ができません。
ダイビングマスクの圧平衡をしないと水中で目の周りに不快感や痛みが生じます。ダイビング後は青あざが生じる場合もあります。ほとんどの場合は問題なく時間がたてば自然に治ります。
歯のスクイズ
写真提供 : よしうち歯科医院
歯のスクイズは通常、ほとんどの場合は生じません。しかし、虫歯などで空間ができて、ダイビング中に空気が入り込み、浮上する際に、そこから空気が出ていくスピードが膨張に追いつかない場合に起こります。
歯に虫歯や痛みなどの異常がある場合はダイビングしてはいけません。
浮上中に不快感や痛みを感じた場合はリバースブロックの可能性があります。浮上スピードを落とすか、浮上するのを中止します。もしくは少し、潜降する場合もあります。
閉じ込められた空気が外に出るのを待ちます。そして前よりもゆっくりと浮上して膨張した空気が外に出るようにします。
風邪やアレルギーと圧平衡
圧平衡は力ずくで無理やりしてはいけません。長く強引な圧平衡は耳に重大な傷害を引き起こして聴力を失ってしまう恐れがあります。圧平衡は練習すればほとんどの人が簡単にできるようになります。
風邪をひいているときやアレルギーがあるときはダイビングをしてはいけません。風邪やアレルギーは充血を引き起こして体内の空気の通り道が塞がれてしまい圧平衡できないことが多いからです。
風邪薬を使うこともおすすめできません。ダイビングの広範に薬の効果が薄れて浮上するときに圧平衡できないというトラブルの原因になるからです。圧平衡できないときはダイビングは中止しましょう。
スクイズと圧平衡・まとめ
今回は、スキューバダイビングの「スクイズ」と「圧平衡」を分かりやすく徹底解説しました。
ダイビングで潜降中に痛みや不快感を感じるのがスクイズです。そのスクイズの起きている空間に空気を送り込み、痛みや不快感を取り除くのが圧平衡です。
潜降中に耳に感じる不快感は、耳のスクイズによるものです。これは鼓膜と周囲の組織が圧力によって内側に押されることによって生じます。耳の圧平衡は鼻をつまんで、そっと鼻へ息を送り込みます。
潜降中に頬骨の上、額の中央、鼻の両脇に沿って生じる不快感はサイナスのスクイズになります。サイナスの圧平衡は耳と同じです。鼻をつまんで、そっと鼻へ息を送り込みます。
潜降中に顔が引っ張られるような感覚や吸われるような感覚はダイビングマスクのスクイズです。ダイビングマスクの内部にある空気が圧力で圧縮されるためスクイズが発生します。ダイビングマスクの圧平衡はマスクの中に鼻から息を送り込みます。
ダイビングに影響するスクイズや圧平衡はとても重要です。スクイズや圧平衡を知らないと耳抜きだけではなく、サイナス(副鼻腔)やダイビングマスク内の顔などを痛めてしまうかも知れません。
風邪をひいているときやアレルギーがあるときはダイビングをしてはいけません。風邪やアレルギーは充血を引き起こして体内の空気の通り道が塞がれてしまい圧平衡できないことが多いからです。
この記事を読むことによって、「スクイズ」と「圧平衡」について学び、さらに安全にダイビングを楽しめるようになります。