今回はノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)について分かりやすく解説します。
ダイビングライセンスを取得しているダイバーは「ノンストップリミット」という言葉を聞いたことがあると思います。ノンストップリミットについてはオープンウォーターのコースで必須で学びます。
ノンストップリミットは簡単に説明すると、ダイビング中にその深度に滞在できる最大の時間を指しています。ノンストップリミットを越えてしまうと潜水病の減圧症になってしまう危険性が高くなります。
記事の内容は「ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)とは?」、「ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を越えた場合」、「潜水病の減圧症とは?」、「ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL) まとめ」に分けて記載します。
ダイバーの方はノンストップリミットを理解することはとても重要です。ノンストップリミットを理解していないと潜水病の減圧症になってしまう危険性があるからです。
オープンウォーターのコースでノンストップリミットについてインストラクターに教えて貰ったけど、何年も前で忘れてしまったダイバーや、減圧不要限界やNDLが分からないダイバーには必見の内容です。
ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)とは?

通常のダイビングでは減圧症になる危険を冒すことなく、必要であればいつでも水面へ直接浮上することのできるダイビングを計画します。これを「ノンストップダイビング」や「減圧不要ダイビング」と言います。
ノンストップリミットとはその深度に滞在できる最大の時間で、その時間内であれば水面に直接浮上できます。ノンストップリミットを越えてしまった場合は減圧症の危険性を抑えるために減圧停止をしなくてはいけません。
オープンウォーターのコースで学んだダイブテーブルの黒い部分がノンストップリミットです。18Mであれば56分、42Mであれば8分になります。深度が深いほどノンストップリミットは短くなります。
ダイブテーブルでは余裕を持ってダイビングの最大深度で計算します。ダイブコンピューターはダイバーの深度ごとにあわせてノンストップリミットを計算してくれます。
「ノンストップリミット」、「減圧不要限界」、「NDL」は言葉が違うだけで3つとも同じ意味を表しています。昔のオープンウォーターのマニュアルではノンストップリミットではなく、「減圧不要限界」と記載されていました。
「減圧不要限界」とは、減圧停止が不要な限界の時間です。
「NDL」とはNo Decompression Limitの略になります。日本語にすると減圧制限なしという意味になります。NDLの表記はダイブコンピューターで使われていることが多いです。
又、ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を越えてしまった場合に「デコ(DECO)った」と言う場合もあります。
デコ(DECO)とはDecompressionの最初の4文字を取った略語です。Decompressionは日本語で減圧の意味になります。ダイブコンピューターのNDLが0分となると「DECO」と表示されます。減圧が必要になったという警告です。
ダイビングでは常にノンストップリミットに余裕を持って減圧症の危険性を冒すことなく安全に計画するようにしましょう。
ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を越えた場合
ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を越えた場合は減圧症になる危険性を抑えるために1回もしくは複数回の緊急減圧停止をしなければなりません。通常のダイビングでは緊急の場合のみの手順です。
緊急減圧停止とは水面に出る前に特定の深度で所定の時間停止して、体内に溶け込んだ窒素を排出することです。
緊急減圧停止は安全停止と違って理論上の窒素レベルの許容範囲を越えないために必ずしなければいけません。安全停止は余裕を持って限度内にとどまるために行います。緊急減圧停止はダイバーを限度内に戻すために行います。
通常のダイビングでは緊急減圧停止が必要になる場合、1回の停止です。しかし、ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を大幅に超えた場合には複数回の減圧停止が必要になります。
ダイブコンピューターのノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を越えた場合は減圧モードに入ります。減圧モードに入ったダイブコンピューターは緊急減圧停止をする深度とその深度にとどまっている時間を表示します。
その後、複数回の減圧停止が必要な場合は次の深度とその深度にとどまっている時間を表示します。
ほとんどのダイブコンピューターでは緊急減圧停止の深度が3Mと表示されます。あわてて3Mまで浮上しないで毎分10Mを越えないようにゆっくりと浮上して安全停止の5Mで停止するようにしてください。
いつも通りに5Mで3分間の停止を行なえば緊急減圧停止の時間が消費されて、減圧モードが通常モードに戻ります。DECOの表示も消えて安全に水面へ浮上することができます。
ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を大幅に超えた場合には5Mで3分間の停止をしても減圧モードのままの場合があります。その場合は3Mまで浮上してさらに停止して通常モードに戻るのを待ちます。
又、大幅に超えた場合は6Mの減圧停止や9Mの減圧停止が表示される場合もあります。
テクニカルダイビングでは減圧ダイビングを計画的に行い、ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を越えてダイビングを楽しみます。緊急減圧停止ではなく、計画的な減圧停止を行います。
安全停止と減圧停止(緊急減圧停止)の違いについては以下の記事に詳しく記載しています。
潜水病の減圧症とは?
減圧症とは、ダイビングで血液や細胞に溶け込んでいた窒素が許容限度内を越えてしまうと、浮上によって気泡となり、細胞を傷つけたり、血管を塞いだりすることで発症する潜水病です。
ダイビングでは圧力が増えるのに伴って呼吸する空気に含まれる窒素が吸収されて身体の細胞に溶け込みます。ダイビングで身体が吸収する窒素の量に影響する要素は深度(圧力)と時間になります。
深度が深ければ深いほど圧力が大きくなり窒素はより速く細胞に溶け込みます。又、ダイビングしている時間が長いほど窒素が細胞に溶け込む時間が長くなります。
人間の身体に吸収された窒素は浮上して圧力が減ると細胞に溶け込んだ状態を維持できない窒素が増えていきます。余分な窒素は細胞から溶け出します。溶け出した窒素は血流に乗って肺に運ばれて吐く息とともに体外へ排出されます。
余分な窒素の量が許容限度内であれば数時間たてば問題なく身体から排出されます。
しかし、体内に溶け込んだ窒素の量が多いと浮上して水面に出た時に、窒素が細胞から溶け出す速度のほうが身体から排出される速度より速くなってしまいます。その結果、血液や細胞の中に窒素の気泡が形成されます。
体内に形成される気泡は減圧症またはベンズと呼ばれる非常に重大な医学的問題を引き起こします。
減圧症の徴候と症状は気泡が形成された場所によって異なります。主にマヒ、ショック、脱力感と長引く疲労感、めまい、しびれ、軽いヒリヒリ感、呼吸困難、関節や手足の痛みがあります。重症の場合は意識不明や死に至る場合もあります。
減圧症(潜水病)については以下の記事に知識や予防方法を解説しています。
ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL) まとめ
今回はノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)について分かりやすく解説しました。
ノンストップリミットとはその深度に滞在できる最大の時間で、その時間内であれば水面に直接浮上できます。ノンストップリミットを越えてしまった場合は減圧症の危険性を抑えるために減圧停止をしなくてはいけません。
「ノンストップリミット」、「減圧不要限界」、「NDL」は言葉が違うだけで3つとも同じ意味を表しています。
「減圧不要限界」とは、減圧停止が不要な限界の時間です。「NDL」とはNo Decompression Limitの略になります。日本語にすると減圧制限なしという意味になります。
又、ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を越えてしまった場合に「デコ(DECO)った」と言う場合もあります。デコ(DECO)とはDecompressionの最初の4文字を取った略語です。Decompressionは日本語で減圧の意味になります。
ノンストップリミット・減圧不要限界(NDL)を越えた場合は減圧症になる危険性を抑えるために1回もしくは複数回の緊急減圧停止をしなければなりません。通常のダイビングでは緊急の場合のみの手順です。
緊急減圧停止とは水面に出る前に特定の深度で所定の時間停止して、体内に溶け込んだ窒素を排出することです。
減圧症とは、ダイビングで血液や細胞に溶け込んでいた窒素が、許容限度内を越えてしまうと、浮上によって気泡となり、細胞を傷つけたり、血管を塞いだりすることで発症する潜水病です。