
今回はエア切れのトラブルで絶対に知っておきたい4つの浮上方法を紹介します。
「エア切れ」とは、スキューバダイビング中にタンク内の空気(エアー)を使い果たして、水中で呼吸ができなくなる緊急事態です。パニックや重大なダイビング事故に直結する危険な状況で、主に残圧計の確認不足や器材のトラブルが原因で発生します。
エア切れのトラブルで絶対に知っておきたい浮上方法は「通常の浮上」、「予備の空気源(オクトパス)を使用して浮上」、「緊急スイミングアセント(CESA)で浮上」、「緊急浮力浮上」の4つの選択肢があります。
それぞれの浮上方法も重要ですが、4つの中でどの浮上方法を選択するのかもとても重要です。エア切れになったときに、自分の状況がどの浮上方法を選択すれば良いのかも一緒に覚えるようにして下さい。
この記事を読むことによってエア切れのトラブルが起きても最も安全な浮上方法を選択して浮上することができます。
エア切れのトラブルで使用できる浮上方法について知ることはとても重要です。正しい浮上方法を知らないとパニックや重大なダイビング事故(減圧症や死亡事故)に直結する可能性があります。
目次
エア切れの予防方法

エア切れのトラブルは残圧計をこまめにチェックしていれば、簡単に回避することが可能です。
深場ではエアーの消費が大きくなります。又、潮の流れが早い場合はフィンキックの回数が多くなり、運動量が増えます。深場や潮の流れが早い場合は普段よりさらにこまめに残圧計をチェックするようにして下さい。
又、残圧計を確認してタンクの残量が少ないことに気が付いたら無理に岸やボートに戻らないで、ダイビングは中止して浮上するようにして下さい。浮上してレギュレーターからシュノーケルに切り替えて水面を泳いで岸やボートまで戻れば問題ありません。

エア切れのトラブルは器材のトラブルによって発生する可能性もあります。ダイビング中にレギュレーターのホースが破裂すると、あっという間にエア切れになってしまう可能性があります。
ダイビング前はレギュレーターのホースも確認してからダイビングを開始するようにしましょう。レギュレーターのホースの根元にひび割れや亀裂が入っているととても危険です。
ダイビングでエア切れを起こさないようにタンクの空気量を事前に計算して安全なダイビングの計画を立てるようにしましょう。
エア切れのハンドシグナル(水中サイン)
エアが切れて水中で呼吸ができなくなってしまったら、すぐにバディや周囲のダイバーにエア切れのハンドシグナル(水中サイン)を伝えます。エアが0でなくても極端に少ない場合は未然にハンドシグナル(水中サイン)で伝えます。
「エア切れ」のハンドシグナル(水中サイン)は首元で手を開いて左右に数回ほど繰り返して動かします。

又、バディや周囲のダイバーのエアが欲しい場合もハンドシグナル(水中サイン)で伝えます。「エア(オクトパス)をください」のハンドシグナル(水中サイン)は首元で手を開いて口元に動かします。

参考ページ : 覚えないと危ない!ダイビングのハンドシグナル(水中サイン)
通常の浮上

タンクの空気は急に吸えなくなるわけではありません。レギュレーターに呼吸抵抗を感じたら、タンクの空気が少なくなっている可能性があります。タンクが完全に空になってしまったのでなければ、通常の浮上が間に合う場合があります。
浮上するのに伴って圧力が減少するため、タンクから供給される空気が膨張して増えていきます。浮上中も最後に残った空気を少しずつ吸いながら浮上します。緊急事態なので安全停止よりも水面まで浮上することを優先します。
肺の過膨張障害や減圧症の予防のために1分間に10Mを超えない浮上スピードでゆっくりとフィンキックしながら浮上します。
予備の空気源(オクトパス)を使用して浮上

エア切れのトラブルはバディがすぐ近くにいればバディの予備の空気源(オクトパス)をもらうことができます。エア切れの浮上方法は予備の空気源(オクトパス)をもらうのが最も安全な方法になります。
エアが切れてセカンドステージ(呼吸器)から空気が出なくなってしまったら、すぐにバディにエア切れのハンドシグナル(水中サイン)を伝えます。エアが0でなくても極端に少ない場合は未然にハンドシグナル(水中サイン)で伝えます。
バディはハンドシグナル(水中サイン)に気が付いたらすぐに予備の空気源(オクトパス)をエア切れのダイバーに渡します。エア切れのダイバーが吸いやすいようにマウスピースの前後、上下の向きを確認して渡します。
このときエア切れのダイバーがパージボタンを押しやすいように予備の空気源(オクトパス)のホースを掴んで渡します。
エア切れのダイバーはバディの予備の空気源(オクトパス)を受け取って呼吸を始める前にレギュレーターの中の海水を抜くためにレギュレータークリアをします。

呼吸が落ち着いたらバディにOKサインを出して、お互いが離れてしまわないように右腕同士でホールドします。
1本のタンクを2人で呼吸することになるため、ダイビングは中止してそのまま浮上します。浮上のハンドシグナル(水中サイン)を伝えます。浮上のハンドシグナル(水中サイン)は親指を水面に向けて立てます。
浮上中にBCDの空気が膨らんで浮上スピードが速くなってしまうかもしれません。いつでもBCDの空気を排気できるように左手はインフレーターホースを高く持ち上げて排気ボタンに指をかけて浮上します。
肺の過膨張障害や減圧症の予防のために1分間に10Mを超えない浮上スピードでゆっくりとフィンキックしながら浮上します。
緊急スイミングアセント(CESA)で浮上

緊急スイミングアセントはタンクの空気が完全になくなり、深度が6M~9M以内でバディや他のダイバーより水面のほうが近く、他に予備の空気を持っていない場合の浮上方法です。
緊急スイミングアセントの浮上方法は、まずは水面に船など危険なものがないか頭上を確認します。右手は危険なものがないか確認するため高く上にあげます。レギュレーターをくわえたまま「アー」と声を出しながら水面に向かって泳ぎます。
声を出すのは膨張する空気を肺から逃がして肺の過膨張障害を防ぐためです。器材はつけたまま、レギユレーターもくわえたままで浮上します。ウエイトを捨ててはいけません。
減圧症や肺の過膨張障害を防ぐために1分間に10Mを越えない速度でゆっくりとフィンキックをしながら浮上します。BCDの中の空気が膨張して浮力が増えるので左手はインフレーターの排気ボタンに指をかけ、いつでも空気を抜けるようにします。
緊急スイミングアセントで重要なのは1分間に10Mを越えない安全な浮上スピードです。例えば、深度10Mから緊急スイミングアセントを行うのであれば、1分間かけて浮上することになります。
浮上スピードが速く、ダイブコンピューターの警告音が鳴った場合はフィンキックを遅くしたり、BCDの排気を行います。
緊急浮力浮上

バディや他のダイバーがいなく、深度が深すぎて緊急スイミングアセントでは水面までたどり着けない可能性が高いときは最後の手段である緊急浮力浮上という方法があります。
緊急浮力浮上は水中でウエイトを捨てて浮上します。安全な浮上スピードを超える以外は緊急スイミングアセントと同じ方法です。安全な浮上スピードを超えることによって何とか水面にたどり着こうという最後の手段です。
浮上スピードが速いため減圧症や肺の過膨張障害の危険性があります。この方法は実際にエアが切れた水深や個人の体力にもよりますが生存率は高くない最後の選択肢です。
大切なのはエア切れを未然に防ぐこと、バディとは離れないというのが安全にダイビングをするためのルールです。
教本から消えたバディブリージング

エア切れの浮上方法で最も安全な方法はバディに予備の空気源(オクトパス)をもらう方法です。しかし、バディが予備の空気源(オクトパス)を持っていない場合もあります。
レギュレーターを購入する場合、予備の空気源(オクトパス)は別売りです。いまは、ほとんどのダイバーがレギュレーターに予備の空気源(オクトパス)を着けていますが、昔は着けていないダイバーもいました。
バディが近くにいて、予備の空気源(オクトパス)を持っていない場合はひとつのレギュレーターをバディと交互に使用する「バディブリージング」というエア切れの浮上方法があります。
高度な技術と精神力が必要な方法であり、自分とバディの両方に危険が伴います。いまのオープンウォーターの教科書には記載されていない非推奨の方法です。
動画 : バディブリージングしながら器材交換・ダイブマスターコース
バディブリージングの方法は、まずハンドシグナル(水中サイン)でバディにエアがないことを伝えます。バディはハンドシグナル(水中サイン)の確認後に自分のレギュレーターをエア切れのダイバーに渡します。
レギュレーターを渡すときの注意はレギュレータークリアで使用するパージボタンを塞がないようにセカンドステージのホースの根元を持って渡します。空気を貰うダイバーはホースの根元を持っているダイバーの腕を掴みます。
ひとつのレギュレーターでバディと交互に空気を吸うことになります。レギュレーターをくわえたら海水を飲まないように強く息を吐きます。その後に2回、空気を吸ってバディにレギュレーターを返します。
バディ同士で2回ずつ交互に空気を吸い、レギュレーターの交換を繰り返しながら1分間に10Mを超えない浮上スピードでゆっくり浮上します。高度な技術と精神力、最も重要なのはバディとの信頼関係です。
危険が伴う難しい方法ではありますが、いざというときに役に立つので技術として知っておいた方が良い価値のある方法です。
エア切れで水面まで浮上した後

エア切れで水面まで浮上した後は浮力の確保のためにBCDのインフレーターの通気口に直接、口をつけて息を吹き込みます。このとき息を吹き込むタイミングにあわせて排気ボタンを押してインフレーター内の弁を開いて下さい。
タンクの空気がないためBCDインフレーターの給気ボタンを押してもBCDに空気は入りません。しっかりとフィンキックして水面から顔が出るようにして息を吸いながらBCDに息を吹き込みます。
体力がなくて水面で浮力の確保ができない場合はウエイトを捨ててください。ウェットスーツを着ているのであればBCDを脱いでも良いです。水面で浮力の確保ができないと、また水中に戻されてしまいます。
エア切れの浮上方法・まとめ

今回はエア切れのトラブルで絶対に知っておきたい4つの浮上方法を紹介しました。
エア切れのトラブルは残圧計をこまめにチェックしていれば、簡単に回避することが可能です。「エア切れ」のハンドシグナル(水中サイン)は首元で手を開いて左右に数回ほど繰り返して動かします。
エア切れのトラブルで絶対に知っておきたい浮上方法は「通常の浮上」、「予備の空気源(オクトパス)を使用して浮上」、「緊急スイミングアセント(CESA)で浮上」、「緊急浮力浮上」の4つの選択肢があります。
それぞれの浮上方法も重要ですが、4つの中でどの浮上方法を選択するのかもとても重要です。エア切れになったときに、自分の状況がどの浮上方法を選択すれば良いのかも一緒に覚えるようにして下さい。
この記事を読むことによってエア切れのトラブルが起きても最も安全な浮上方法を選択して浮上することができます。
エア切れのトラブルで使用できる浮上方法について知ることはとても重要です。正しい浮上方法を知らないとパニックや重大なダイビング事故(減圧症や死亡事故)に直結する可能性があります。
#エア切れ #ダイビングエア切れ



